振り返り(リフレクション)とは?やる意味は?具体的手法もまとめて解説

「今日はよく働いたなあ」

「今月は全然遊びに行けなかったなあ」

「今年もあっという間に過ぎていったなあ」

一日の終わりや、月や年が変わる時、ぼんやりとそんなことを思う人は多いのではないでしょうか。

仕事では、人事考課のときに無理やり振り返りをさせられている、そんな人もいるかも知れません。

今回は、振り返り(リフレクション)の重要性と効果的な方法を解説していきます。

目次

振り返り(リフレクション)とは?

振り返り(リフレクション)とは「結果を客観的に分析(自分の言動、内面、環境など)して、次のアクションを見つけ出すこと」です。

この一連の流れがあってこそ、振り返りになります。

ただ、忙しい日々の中で、仕事ならまだしも、自分のことを振り返る時間をつくることは、なかなか難しいですよね。

やってみようと思っても、結局ただの「感想」や「反省」になってしまう、ということも多々あります。

振り返り(リフレクション)と感想・反省との違い

振り返りをしていると「感想」や「反省」と混同している人を見かけます。

振り返りがうまくできない、振り返りという言葉にモヤっとする、という場合は「感想」や「反省」と混同してしまっていないか、確認しましょう。

正しい言葉の前提を持っていないと、正しい行動はとれません。

では、感想、および反省と、振り返りの違いをみていきましょう。

感想とは

「感想」とは、「頑張った」「楽しかった」「うまくできたと思う」など、結果(自分の行動や言動、内面などに)対して『主観的』に判断してしまっている状態です。

第1視点が強い場合や、メタ認知が苦手な人はこの傾向が強くなります。

主観的な意見は、ひとつの検討材料にはなりますが、感情的になりやすく、そこで満足してしまったり、逆に逃げてしまうこともあります。

そのため、他人を納得させたり、改善点を発見することが難しくなるのです。

そのため、次のアクションを見つけ出すことができなくなり、振り返りとは全く違ったものになります。

反省とは

「反省」は失敗や間違いに対して行われることが多く、ネガティブなイメージを持っている人も多いでしょう。

失敗した原因や、間違えた理由、責任の所在などを突き詰めて、それに対して何らかのアクションを取ります。

第1視点の状態が良くない場合や、第2視点や第3視点が悪く出ると、この傾向が強くなります。

振り返りが「次にどうするか」つまり、未来にフォーカスしているのに対し、反省は「どうしてそうなったのか」という過去にフォーカスします。

この作業は、あまり楽しいものではありませんし、足の引っ張りあいや、自信の喪失といった間違った方向へ進むこともあります。

振り返りのメリット

「感想」や「反省」が、振り返り(リフレクション)と大きく異なることは理解いただけたかと思います。

では、振り返り(リフレクション)をすることは、どんな意味があるのでしょう?

振り返り(リフレクション)のメリットには以下のようなものがあります。

  • 改善点が分かり、次にやることが明確になる
  • やる気がでたり、気分が前向きになる
  • 軌道修正ができる
  • メタ認知が鍛えられ、自律性が養われる

振り返りは、仕事の場での活用はもちろんですが、自分自身の生き方についても同じ効果が得られます。

自分の成長だけでなく、部下や後輩、お子さんなど、自分が教育する立場のときも活用してみてください。

では、それぞれを詳しく見ていきましょう。

改善点がわかり、次にやることが明確になる

なにか行動を起こせば、そこには必ず結果が出ます。

しかし、私たちはその行動と結果を、ただ漫然と繰り返し続けて、時が過ぎるままにしていることがほとんどです。

「いつも同じようなミスをしてしまう」

「眼の前のことをいきあたりばったりでやってしまいあたふたしている」

「なかなか物事が上達しない」

ということが多い人は、振り返りがうまくできていないことがほとんどです。

振り返り(リフレクション)は、結果の善し悪しを判断することではありません。

言動や、考え、心の動きや周りの環境ををひとつひとつ振り返り、その行動の意味や改善点を見つけ出すことです。

行動の意味や、改善点がわかれば、次にそれを踏まえた行動が自ずと見えてきます。

やる気がでたり、気分が前向きになる

振り返りは、客観的にするものです。

振り返りの時間をとることで、自分の感情や感覚から一定の距離を置くことができます。

失敗してひどく落ち込んでも、成功して浮かれていても、振り返りによって冷静な自分を取り戻すことができます。

過度に自分を責めたり、他人や環境のせいにして、モヤモヤ、イライラすることも減るでしょう。

また、行動している最中は、どうしても目の前のことに集中しがちです。

すこし時間がたち、落ち着いて行える振り返りだからこそ、そのときには見えなかったことが見えてきたり、気づかなかったことに気づけたりします。

振り返りの時間をとることで、頭と心がすっきりとし、やる気がでたり、前向きになることができるのです。

軌道修正ができる

振り返り(リフレクション)は、軌道修正にも役立ちます。

行動をしていると、どうしても、思いもよらなかった問題や避けられなかった事態が出てくるものです。

そういったことに直面した時、多くは素早い対応が求められます。

その場しのぎの対応をする必要があるかもしれません。

達成するまでの時間が長くなればなるほど、行動が目標や目的からずれていってしまうこともあります。

そうしたときは、一旦立ち止まり振り返りをすることで、目標や目的を再確認し、適切な行動を選択し直すこともできるのです。

メタ認知が鍛えられ、自律性が養われる

振り返り(リフレクション)は「分析して、次のアクションを考えていく」行為です。

「やりなさい」と指示や命令を受けて動くものではありません。

つまり、自分の頭で考え、決める必要がある、ということです。

そして、その決めた行動に責任を持つ、ということです。

その行動に反対する人がいたとしても、分析で導き出した次のアクションは、他人を説得させることができる力を持っています。

分析し、決断し、行動し、そしてまた振り返る、という繰り返しは、その人の自律性を養います。

初めはうまくいかなくても、続けるうちに、その人の客観視する能力や、分析力が養われる、つまり「メタ認知能力」が向上します。

それに伴い、経験や感情、価値観、信念が熟成されていくでしょう。

効果的な振り返りの方法

「振り返りがいいことはわかったけど、実際にやると感想や反省になってしまう」

という人は、ワークフレームを活用してみましょう。

ワークフレームとは、考えるべきポイントをパターン化して、誰でもその流れに従っていくだけで答えが出せるようにした枠組みや手順のことです。

振り返り(リフレクション)は「結果を客観的に分析(自分の言動、内面、環境など)して、次のアクションを見つけ出すこと」ですので、その流れにそったワークフレームを使えばいいことになりますね。

ビジネスの場では、さまざまな方法が利用されています。

仕事だけではなく、プライベードでも取り入れやすいワークフレームを3つご紹介します。

  1. PDCA
  2. YWT・YWTM
  3. KPT・KPTA

1.PDCA(ピーディーシーエー)

「PDCA」は、Plan(計画)、Do(行動)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字を取ったもので、このプロセスを繰り返していきます。

改善を続けていくのに適したワークフレームです。

計画ありきなのが特徴です。

業務内容の改善や、習慣化、目標達成などに活用できます。

2.YWT・YWTM

「YMT」は、Y(やったこと)、W(わかったこと)、T(次にやること)の頭文字を取ったもので、「YWTM」はこれに、M(メリット)をプラスしたものです。

PCDAが計画を踏まえての振り返りであるのに対し、こちらは「実際にやったこと」を重視した方法です。

意識しなくても、自然とやっている人も多いかもしれません。

実際にやったこと、経験には感情や経験知が伴います。

個人や少人数でそういったものを共有できるときに大いに役立つでしょう。

3.KPT・KPTA

「KPT」は、Keep(よかったこと、今後も続けること)Problem(悪かったこと、問題点)Try(新たに挑戦すること)の頭文字を取ったもので、「KPTA」は4これにAction(具体的な行動)をプラスしたものです。

YWT・YWTMをより具体的にした感じですね。

具体的にすることで、問題や改善点が共有しやすくなります。

また、Actionを加えることで、実際に実現できるレベルでの行動まで決定されるので、チームの方向性が揃い、スピードアップが期待できます。

ご紹介したフレームワークの他にも、「LAMDA」、「コルブの経験学習モデル」、「3行日記」や「4行日記」など、さまざまな方法があります。

より効果的に振り返りをするには?

振り返りのタイミングは、1日、1週間、1ヶ月、1年、四半期やプロジェクト終了時など、振り返る内容によって、適したタイミングは異なります。

しかし、どのタイミングに行うにしろ、定期的に継続的に行うことが重要です。

定期的、かつ継続的に行うことによって、目標や目的の確認、進捗度の確認、成長や変化を分かりやすく把握することができます。

また、論理的、客観的に考える力を養えたり、発見や気づきを促す効果も期待できます。

チームで振り返りをしたり、上司や同僚にフィードバックをもらえる環境であれば、ぜひ活用しましょう。

個人的な振り返りの場合は、主観的になって視野が狭くなったり、自分の価値観や考えた方の癖が出てきてしまうこともよくあります。

そんなときは、誰かにフィードバックをもらったり、視野を広げるワークなどを一緒にやると効果的な振り返りができますよ。

まとめ

振り返り(リフレクション)とは、「結果を客観的に分析(自分の言動、内面、環境など)して、次のアクションを見つけ出すこと」でした。

結果(自分の行動や言動、内面などに)対して『主観的』に判断「感想」や、失敗した原因や、間違えた理由、責任の所在などを突き詰めて、「どうしてそうなったのか」という過去にフォーカスする「反省」とは異なるものです。

振り返り(リフレクション)には

  • 改善点が分かり、次にやることが明確になる
  • やる気がでたり、気分が前向きになる
  • 軌道修正ができる
  • メタ認知が鍛えられ、自律性が養われる

などのメリットがあり、ワークフレームを使うことによって、より簡単に、効果的にすることができます。

定期的に継続的に行うこと、他の人からのフィードバックを受けることで、よりよい振り返りが得られますので、チャンスがあればぜひ、試してみてください。

田代 真理
Mari Coaching Room 代表
メンタルコーチ。コーチ歴17年、手帳歴20年。「3つの視点」にフォーカスした自分と周囲を変革するための独自メソッド『3つの視点コーチング™』で、個人セッション、講座、法人社外コーチとして活動。手帳を使ったセルフコーチング・自作テンプレート『大人が整うノート』を提供中。
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