人に頼るのが苦手で、結局一人でやってしまいがちな人の3つの原因と対策

仕事や家事など、誰かに手伝ってもらいたいとき、気軽に人に頼める人もいれば、ためらってしまう人もいます。

気兼ねすることなく、人を頼れたら楽ですが、それがどうしても苦手、できないという人も多いです。

今回は「頼みたい、頼りたい」と思いながらも、結局一人でやってしまいがちな人の3つの原因と対策について、「3つの視点」を踏まえながら解説します。

目次

頼れない人の3つのパターン

「人に頼ることが苦手」という人の原因は人それぞれあると思いますが、私が今までに出会ってきた人たちの意見をまとめると、以下のどれかに当てはまるようです。

・相手に気をつかいすぎている
・断られることを避けたい
・周りの人を信じていない

では、それぞれについて原因、対策について詳しく見ていきます。

「あ、私これだな」と思ったら、参考にしてみてください。

相手に気をつかいすぎている

「忙しいそうだし、こんなことを頼んだら余計負担をかけてしまうな」

「優しい人だから、断りたくても断れないかも」

など、相手の気持ちを慮るあまりに頼れない、というパターンです。

相手の反応をいろいろ考えて腰がひけてしまうんですね。

それだけで疲れてしまったり、考えているうちにタイミングを逃してしまったりして、人に頼れないということになります。

原因

これは、第2視点が強い人で、その特徴が、マイナスの方向に出ているときに起こりがちです。

第2視点とは「相手の視点」のことですので、相手の目線で物事を見たり、考えたりすることができるという視点です。

相手の気持ちをいろいろな方向から考えることができるということ自体は、とても素晴らしいことです。

しかし、これがマイナスに出ると先述のような「余計な負担をかけてしまう」「断りたくても断れないんじゃ」といったマイナスの想像だけにフォーカスしがちになります。

また、第2視点がマイナスの方向に出ると「NO」が言えなくなることも多いです。

そういう人は、自分が「本当は嫌だな」と思っていることを相手に「NO」と言えない、という経験を重ねてきています。

その経験が「相手が断りたくても断れないかも」という想像を招きます。

加えて、第2視点が強い人というのは「察する」能力が高めです。

自分なら「察して」自らすすんで他人を手伝ったりすることも多いはず。

なので、「相手が「手伝う」と言ってきてくれないということは、自分でなんとかすべきことなんだな」と抱え込んでしまうこともあります。

対策

相手が考えていることというのは、相手本人に聞く以外、知ることはできません。

さらに、同じ人でもその状況いかんで、いつも同じ反応が返ってくるわけでもありません。

ですので、最低限の気遣いは絶対に必要ですが、それを超える気遣いはあまり意味がないのです。

それを踏まえた上で、相手の気持ちを考えるときは、マイナスのことだけではなく「負担になるほどのことじゃないかもしれない」「実は頼られて嬉しいかもしれない」といったプラスの反応も思い描きましょう。

私のクライアントの方にも「では、あなたがその場面で逆に頼られる立場だったらどうですか?」と聞くと、ほとんどの人が「手伝うと思うし、それが嬉しい」と答えます。

あなたはどうですか?

また、相手に「NO」と言わせてしまうことにすら、なんだか悪いような気がすることもあるのも、「相手が「手伝う」と言ってきてくれないということは、自分でなんとかすべきことなんだな」と思うのも、すべて「自分はこうなのだから、相手もそうに違いない」という基準になっています。

「人の気持ちを慮る」ことができるのも「察する」ことができるのも、能力であり、個人差があります。

第2視点が強い、ということはその能力が高い、ということなのです。

世の中には「NO」と言うことになんの躊躇もない人もいますし、まったく察することができない人もいます。

相手がそういった人かどうかは、日々の観察やコミュニケーションで判断するしかありません。

自分がどんなに頑張っていても、相手に察する能力がなければ、あなたを手伝ってくれるはずもありません。

残念な話ではありますが、あなたが他人を思うのと同じように、他人が人のことを思っているとは限らないのです。

あなたの他人を慮る能力は、総じて高く、その能力を間違った方向や人に使わないように気をつけるようにするだけでも、ずいぶんとラクになるはずです。

断られることを避けたい

「頼むと嫌な顔をされるのがつらい」

「もし頼って断られたら、その後が気まず過ぎる…」

「こんな簡単なこともやってくれなかったら腹が立つ」

など「せっかく頼ったのに、断られた」という状況になったら、自分が嫌な気持ちになってしまうかもしれない、と想像して頼ることを避けるパターンです。

「断られることによって自分が傷つきたくない」と思って避けてしまうんですね。

過去に人を頼って裏切られたなど、過去の嫌な経験によって、これが引き起こされる場合もあります。

人は「自分を守る」という本能がありますので、これは全く悪いことではありません。

しかし、あまりにも「傷つくのが怖い、嫌だ」と避けてばかりいると、どんどん頼ることができなくなり、悪循環に陥ってしまいます。

原因

これは、第1視点が小さくなっていたり、状態が悪くなっている人に起こりがちです。

第1視点とは「自分」の視点のことで、第2視点、第3視点の基礎でもあります。

そもそも、なぜ「断られる」ことで「傷つく」のか、考えたことはあるでしょうか。

期待していたことが叶わなかったから?

やってくれて当然と思っていたから?

断られることで嫌な気持ちになる、という人の心の奥底で「私は相手にとって、価値のない人間なのだ」と感じてしまっている可能性があります。

それが、悲しみや寂しさ、怒りといった感情で表れていることが多いのです。

誰かのために何かをしてあげることは、分かりやすい愛情表現のひとつですよね。

子供の頃から私たちは、親や家族、周囲の人達にいろいろしてもらって生きてきました。

自分のために何かをしてくれることは、その人が自分を大切に思ってくれている、愛してくれている、と無条件に思ってしまいがちです。

第1視点が小さくなっていたり、状態が悪くなると、この「自分を大切にする」ことが自分でできなくなります。

自分で自分を認められなくなると、自分のエネルギーをチャージできなくなります。

そして、その不足分を補うために、常に「誰かから自分を大切にしてもらいたい」という状態になります。

この状態になると「断られること=自分を否定されている」という感覚につながるのです。

対策

「断られる=あなたに価値がない」ということではありません。

断る方にも理由があり、あなた自身を否定しているつもりは毛頭ないはずです。

その場の感情に引きずられしまうと「〇〇に違いない」と、自分が一番先に思いついた原因に飛びついて、それから離れられなくなってしまいます。

タイミングが悪かったのかもしれないし、個人的な事情があったのかもしれない。

理由に思いを巡らすことを忘れてしまうと、嫌な思い出になってしまいます。

他人を頼るときは、期待を持たず「やってくれたらもうけもの」くらいの気持ちでいましょう。

断られても、あなたの価値は何も変わりませんし、相手との関係性も変わりません。

手を貸してくれるかどうかは、相手の気持ち次第。

もし、そこで関係性が悪くなるようなら、それまでの関係だったということです。

そして、断られたら、湧き上がる感情に引きずられることなく、断られた理由を折を見て相手に聞いてみたり、それができないなら、客観的に考えられる誰かに相談してみてもいいと思います。

「実はあのときは、お腹が痛くてさ、ごめん」なんてことも、あるかもしれませんよ。

周りの人を信じていない

「人に任せると、ミスをして逆に大変なことになりそう」

「相手に任せるよりも、自分がやったほうが早い」

「どうせ思った通りの結果が返ってこないし、時間の無駄」

など、周りの人の能力を信じられなかったり、信頼関係を築くのが苦手なパターンです。

実際に仕事ができる人に多く、一人で解決できることも多いのですが、それゆえ、キャパオーバーになりやすく、ある日ポキンと折れてしまうこともあります。

原因

このパターンは第3視点が強い人に特に顕著に見られるパターンです。

「自分でやる」ことが、良くも悪くも身にしみてしまっている人ともいえます。

第3視点、社会の視点が強い人は、仕事ができる、頭がいい、という印象を抱かせます。

事実そうであるため、そのため社会的に責任のあるポジションにあることも多いです。

自分の能力や環境が相まって、責任感がつよく、真面目で努力家の優等生タイプと言われる人も多いでしょう。

第3視点は客観的な視点であるため、多くの場合、的を射た意見を持っています。

「人に任せるよりも、自分でやったほうが早い」というのはほとんどの場面でそうでしょうし、「人に任せるとミスをする」というものあながち間違いではないかもしれません。

しかし、裏を返せば、自分にも他人にも厳しく、批判的で、プライドが高いといった面もあります。

「人に任せてばかりの人=成長が足りない人」「人に頼む=弱いところを見せる」「これは自分がやるべき仕事」などと、自分で決めたルールに縛られていることもあります。

対策

いままで頑張ってきたからこそ、第3視点が強くなっているのでしょうし、その努力は素晴らしいものです。

そんな自分と比較して、周りが頼りなく見えるのも仕方ないことなのかもしれません。

でも実際は、上には上がいることも分かっているし、どれだけやっても理想の自分になれないといった徒労感を感じている人もいるでしょう。

気楽に仕事を頼んでくる人や、なぜだか周りに助けられている人を見てイライラする反面、うらやましいと心のどこかで感じていたりはしないでしょうか。

人がひとりで背負うことができることは、限られています。

そして、そんなにあなたが背負う必要もないのです。

周りの人は、あなたが思っているよりも、あなたのことを気にかけて、手助けしたいと思っているかもしれません。

「人に任せると、ミスをして逆に大変なことになりそう」

「相手に任せるよりも、自分がやったほうが早い」

と思う前に、実際にやらせてみてはどうでしょう?

やらせてみて、うまくいったのならそれでよし。

うまくいかなかったのなら、フォローする必要が出てきますが、そのフォローをこそが、あなたが真価が発揮される場面です。

今まで散々人の尻拭いをしてきて、もううんざり、と思っているかもしれません。

フォローが面倒だからこそ、自分でやろうとしているのかもしれません。

でも、本当は「誰かの力を借りなければいけない」と、賢いあなたは分かっているはずです。

あなたは今やっていることを、十分やってきました。

逆に言うと、あなたはそこでこれ以上その場所では評価されません。

あなたがやっていることは、誰かのお手本レベルになっている、つまり、先生になれるはずなのです。

「そんな自信はない」というのなら、先生になるための努力をするステージが来た、ということです。

あなたにはそれができるのですから。

その場所を譲って、あなたが本来行くべき場所にさっさと行くほうが、相手のためにも自分のためにもなります。

まとめ

「人に頼ることが苦手」という人には

・相手に気をつかいすぎている
・断られることを避けたい
・周りの人を信じていない

といったパターンがあり、それぞれに原因と対策を解説しました。

どのパターンでも言えることですが「人を頼れない」というのは、その人の思考のクセからくる「思い込み」であることがほとんどです。

「相手はこう考えるのでは?」「自分がやったほうが早いのでは?」と考えてしまうのは、自分の得意な視点がマイナスに出ている結果に過ぎないのです。

視点のバランスを整えることで、これらはすぐにプラスに転じます。

今回当てはまる部分があった方は、ぜひ、自分の視点について考えてみてください。

田代 真理
Mari Coaching Room 代表
メンタルコーチ。コーチ歴17年、手帳歴20年。「3つの視点」にフォーカスした自分と周囲を変革するための独自メソッド『3つの視点コーチング™』で、個人セッション、講座、法人社外コーチとして活動。手帳を使ったセルフコーチング・自作テンプレート『大人が整うノート』を提供中。
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