「自己肯定感」とは?低い人と高い人の違い、原因と対策を3つの視点でわかりやすく解説!

最近「自己肯定感」という言葉をよく見たり聞いたりする、という方も多いのではないでしょうか。

自己肯定感とは「ありのままの自分を肯定する感覚」「自分はこれでいいのだという感情」のことですが、ぶっちゃけよく分からん、という人がほとんどだと思います。

また、抽象的な言葉が先行しているせいで、間違ったイメージを持ってしまっている人も多い気がします。

今回は、「自己肯定感」について解説していきます。

目次

「自己肯定感」をわかりやすくいうと?

こんな話を始めましたが、私は基本的にセッションなどでは「自己肯定感」という言葉はなるべく使わないようにしています。

なぜなら「言葉の前提」に問題があると感じるからです。

どういうことかというと、例えば

「自分はこれでいい、ってそんなこと到底思えそうにない」

「そんなことをしたら、成長しない人間になっちゃう」

「それって、結局、自分勝手ってことなんじゃないの?」

といった「自己肯定感」という言葉へのイメージが人によって違いすぎるのです。

実際、昔は、私自身が自己肯定感が非常に低い人間だったこともあるので、そうした気持ちがよく分かります。

私のクライアントの方も、はじめはこうおっしゃる方がほとんどで、こうした言葉の前提を持っていることは、セッションや講座の妨げになることが多いため、なるべく使わないようにしているというわけです。

その代わり、使っている言葉は「自分で自分を大切にすること」という言葉です。

自己肯定感が壊滅的に低かった当時の自分が、一番はじめに「それならできるかもしれない」と思った言葉がこれでした。

「自分で自分を大切にする」とは?

「自分で自分を大切にする」というのは「あなたが大切に思う人にするように、自分に接する」ぐらいの意味だと思ってください。

はたしてあなたは、あなたが大切な家族や友人に接するように、自分に接しているでしょうか。

または、こう考えてもいいです。

「自分が自分の一番の理解者であること」

家族であれ、恋人であれ、親友であれ、あなたにはなれません。

どれだけ理解しようとしても、どれだけ共感しようとも、あなたと全く同じ、というわけにはいきません。

そもそもあなたがあなたの一番の理解者であるはずなのですが、思いのほか、自分のことについて考える時間を取っていなかったり、自分の感情を後回しにしてはいないでしょうか。

「自分で自分を大切にする」ようになると、心が満たされ、腹の底から「私は幸せなのだ」と言えるようになります。

そしてその状態こそが「自己肯定感が高い」状態なのです。

自分で自分を大切にできない原因

コーチングや普段の生活で人と話していると「自分で自分を大切にできていない」つまり自己肯定感が低い方がまだまだ多いなあと感じます。

具体的には

「自分を大切にするということに抵抗感がある」

「自分を大切にしようと思っても、周りのことを考えてしまってできない」

という人もいれば

「自分を大切にするという感覚がそもそも分からない」

「自分を大切にしてるつもりなのに、満たされていない」

という人もいます。

日本には「謙譲の美徳」や「和を重んずる」という文化があります。

自分は一歩引き、他人のことを考えて社会的に、協調的に行動する、というのは日本人の誇るべき文化だと思いますし、そんな日本人が私は大好きです。

しかし、自分以外の人や、社会のルール、モラルなどを優先し過ぎてしまって、自分を忘れがちになることがあります。

そうして「はて、自分を大切にするとは一体どういうことか、よく分からん」という状態になってしまっている人も多いのです。

「自分で自分を大切にする」とは、極々、個人的で、感覚的で、体感的なものです。

頭で考えて理解できるものではありません。

ところが「他人のこと」だったり「社会的なこと」というのは「頭で考える」ことがほとんどです。

「自分の感情や感覚で物事を決めたり行動するのは大人としてどうなの?」と言われることもあります。

その結果「頭で考えることはできるけれど、自分の気持ちや感情や感覚を無視しがち」ということになります。

結果ますます「自分で自分を大切にする」ということから遠ざかってしまっているのです。

自己肯定感が高い人の特徴

では、自己肯定感が高い、つまり「自分のことを大切にできていて、心が満たされている」人には、どんな特徴があるのでしょう。

私のクライアントの方々の結果を細く言い出すと切りがないので、大きく以下の3つにまとめました。

1.ポジティブに考える
2.主体的に思考、行動できる
3.他人や社会に寛容になる

それぞれ見ていきましょう。

ポジティブに考える

「頑張っても評価されない」「周りに理解されない」「私なんて人と比べたら」「どうして私ばかり損するのだろう」「将来が不安で仕方ない」「孤独感がある」「なんだか虚しい」…。

自分が大切にできていない、ということは「心がスカスカで満たされない状態」ということです。

自分を大切にできていない、つまり自己肯定感が低いと、物事の悪い面、ネガティブな感情ばかりに目が行くようになります。

人は、自分の心を周りに投影します。

そして、その投影がうまくいかないとき、そこになにかしらの違和感を覚えます。

例えば、ネガティブな考えを持っている人は、ポジティブな人と一緒にいると違和感を覚えます。

よって、なんだか疲れてしまったり、「脳天気な人」とか「馬鹿なんじゃないか」と思うことで、自分の心の投影を正当化しようとする人もいます。

これらは自分にとって不快なことです。

なので、避けようとする。

そうすると、ネガティブな物事をまた見てしまう。

するとまた、自分の心がスカスカになっていく、つまり自己肯定感が下がる、といった悪循環を招きます。

こうなってしまうと、頭では分かっていてもなかなか「物事の良い面」を見ることが難しくなります。

自分を大切にするようになると、物事の良い面を無理やり見ようとしなくても、自然とそこに目が行くようになります。

良い面を見ると、嬉しくなったり、感動したりします。

ポジティブな人に違和感を覚えなくなり、周りにポジティブな人が増えます。

ポジティブな人や環境からは、ポジティブな反応が返ってくる。

こうして、今度は逆に好循環に入って、自分の心が満たされていく、つまり自己肯定感が高くなるのです。

主体的に思考、行動できる

主体的というのは「自分で決めて、自分でやる」ということです。

「ええ、そんなのいつもやってるよ」と思うかもしれませんが、

「これをやると相手が喜ぶから」

「こうしたほうが効率的だから」

など「自分で決めているようで、実は他人や社会が基準になっている」ことはよくあります。

ここに「自分も心からそう思って決めている、やっている」というのなら問題ありません。

しかし、自分の考えや気持ちに気づいていない、もしくは、気づいていても無視している、というなら、それは主体的とはいえません。

周りの人や社会に自分を合わせてばかりいると、どんどん自分を大切にできなくなる、つまり自己肯定感が下がります。

「自分で決めて、自分でやる」というのは「自分の価値観」に沿った選択、行動をすることです。

そもそも「自分のことを大切にできていて、心が満たされている」状態は、自分の価値観を沿った選択、行動をすることで叶えられてきます。

ですので、主体的に考えられて当然です。

また、「自分の価値観を大切にすること」はそれ自体が「自分を大切にすること」ですので、ますます自分を大切にできるようになっていきます。

他人や社会に寛容になる

自分で自分を大切にできるようになると、大切な人や、全く知らない人や、社会そのものに対して寛容になっていきます。

「以前は家族にちょっとしたことでイライラしていたのに、今は全然気にならない」

「今までは会社に不満ばかり持っていたけれど、今はちょっと離れたところから冷静に見ている自分がいる」

「今までも人に優しくしようと頑張って取り繕っていて、いつも不安だったけど、今は自然体で人と接しても大丈夫だと感じる」

こんな変化をクライアントの方からよく聞きます。

特にコミュニケーションの練習をしたわけでもないのに、どうして?と不思議がられるのですが、これは自分を大切にできるようになった結果なのです。

平たく言えば「自分のエネルギーが満たされて周りを受け止める余裕ができた」ということ。

こうなってくると、周りからの評価も上がり、付き合う人も変わってくるので、「自分のことを大切にできていて、心が満たされている」状態がより良く続くようになります。

3つの視点コーチング™的で見るできない原因と対策

自分を大切にしたほうがいいと分かっても、できないという場合を、3つの視点から解説してみます。

自分以外の人や、社会のルールやモラルを優先しすぎている、そして自分を大切にできなくなっている状態を、3つの視点では「第1視点が小さくなっている」状態と見ることができます。

「自分で自分を大切にする」とは「自分のこと」ですから、視点でいえば第1視点の話です。

つまり、第1視点にいてこそできること、になります。

視点は状況によって、それぞれの視点間を移動し、その力を発揮しますが、それは無意識で行われています。

「相手」の視点である第2視点、「社会」の視点である第3視点、それぞれ、または両方は得意で、その視点にいることが多い人は、第1視点が相対的に小さくなって、第1視点への移動がしにくくなるのです。

この状態が「頭で考えることはできるけれど、自分の気持ちや感情や感覚を無視しがち」ということです。

第2視点や第3視点にいるまま、第1視点のことを考えることは絶対にできません。

「自分を大切にするということに抵抗を感じる」

「自分を大切にするという感覚がそもそも分からない」

「自分を大切にしてるつもりなのに、満たされない」

というのは、第1視点に移動することなく、他の2つの視点から、第1視点ですべきことをしようとしているのかもしれません。

相手や社会がどれだけあなたのことを「すごい」と言っても、本人がそれを喜べるかどうかは別の話ですよね。

これと同じことを自分で自分にしていると思ってください。

ですので、「自分で自分を大切にする」には、まずは第1視点に移動することから始めなければなりません。

そして、第1視点を大きくしていくことが大切です。

また、第2視点や第3視点から自分のことを大切にしようとすると、結局それは第2視点、第3視点でやっていることになりますので、その視点が成長します。

すると、ますます第1視点との差ができてしまい、第1視点への移動が難しくなります。

結果、「自分で自分のことを大切にする」ことをすればするほど、自分のことを大切にすることが難しくなる、といった矛盾が起きるのです。

まとめ

「自己肯定感」を簡単に言うと、「自分で自分を大切にすること」です。

自分で自分を大切にするというのは、「あなたが大切に思う人にするように、自分に接する」、「自分が自分の一番の理解者であること」です。

自分以外の人や、社会のルール、モラルなどを優先し過ぎてしまって、自分を忘れがちになることが多いと、「自分で自分を大切にする」ということから遠ざかってしまいます。

自分で自分を大切にできるようになると

  1. ポジティブに考えるようになる
  2. 主体的に思考、行動できる
  3. 他人や社会に寛容になる

などのメリットが、ますます自己肯定感が上がっていきます。

3つの視点的に言えば、自分の視点である第1視点が小さくなり、移動できない状態ですので、まずは第1視点に移動すること、そして第1視点を大きくしていくことが大切です。

田代 真理
Mari Coaching Room 代表
メンタルコーチ。コーチ歴16年、手帳歴19年。「3つの視点」にフォーカスした自分と周囲を変革するための独自メソッド『3つの視点コーチング™』で、個人セッション、講座、法人社外コーチとして活動。手帳を使ったセルフコーチング・自作テンプレート『大人が整うノート』を提供中。
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