社会人になってからの勉強は、学生時代のそれとは大きく異なります。忙しい合間をぬってやるのなら、できるだけ効率よく、短期間で成果を出したいですよね。
こちらの記事で、社会人が勉強することのメリット・デメリットと、社会人の「勉強」に必要なこと3つを紹介しました。
社会人の「勉強」に必要なこと3つとは
効率的かつ合理的な勉強方法を確立する
勉強することを習慣化する
仕事や実生活で結果を出せる基準にする
でした。これらを具体的にどうしていけばよいのかを2回にわたって解説します。今回は「効率的かつ合理的な勉強方法を確立する」についてです。
効率的かつ合理的な勉強方法を確立する3つのステップ
効率的であるというのは「少ないリソースで最大限の結果を出す」ということ、合理的であるというのは「理にかなった物事の進め方をすること」だと考えてください。
つまりこれを「社会人の勉強」にあてはめると「少ない時間でポイントを押さえた勉強をすること」になります。
社会人の場合、勉強しようとしたとき一番のネックになるのは「時間」でしょう。限られた時間の中で勉強する時間を捻出しなければならない=「時間管理」が必要です。
また、社会人の勉強は、学生時代のように「勉強しなければ卒業できない」など、強制力があるものばかりではありません。それゆえ、なかなか始められなかったり、始めても続かなかったりしがちです。
ですので、いつまでにどの程度、何をどのように勉強するのかという「目標管理」が必要になります。
「時間管理」にしろ「目標管理」にしろ、それを他の誰かがやってくれるわけではありません。自分の意志でもって、自分でやり遂げる必要があるのです。
つまり「効率的かつ合理的な勉強方法を確立する」とは「自分の意志で」「時間管理」「目標管理」をできるようにすることになります。
勉強を始める前に、まずは「時間管理」と「目標管理」を学び、自分で自分をコントロールする方法を学んでください。このふたつはいわば、これから勉強をするにあたっての「地図」になります。
地図を持たずにいきなり始めたり、地図を作りながら勉強するのは、人間の脳にとって、とても負担のかかることです。その負担を減らすために、作業を単純化し、ひとつのことに集中できる状態を作っておくことが必要になります。
この3つには、やるべき順番があり、それは以下のようになります。
ステップ1 自分の意志で自分をコントロールする
ステップ2 時間管理をする
ステップ3 目標管理をする
では、その具体的な方法を見ていきましょう。
ステップ1 自分の意志で自分をコントロールする
「自分の意志で自分をコントロールする」には、2つのことをします。「目的の確認」と「決める」ことです。
① なぜ「勉強するのか」をはっきりさせる
勉強を始める前に必ず考えておきたいこと、それが「何のために勉強をするのか」です。つまりその勉強をする「目的」の確認です。
ここがはっきりせず「なんとなく」や「興味がある」程度で勉強を始めてしまうと
- やる気が出ない
- 続かない
- 無駄なことに時間とお金を費やしてしまう
という、非効率的で非合理的な結果を招きます。忙しい社会人にとって、結果の伴わない勉強ほど、もったいないものはありません。
「目的」は「中・長期間(1年以上)で考えたときにそうなりた状態や状況」だと思ってください。
例えば「3年後に、ビジネスで日常的に英語が使えている(状況)」だったり「資格を取得して、専門職として活躍している(状態)」といった具合です。
目的が決まったら、手帳や紙に書いて起きましょう。
勉強が嫌になったり、くじけそうに鳴ったときに見返せば、きっとあなたの背中を押してくれます。
目的の探し方・見つけ方はとても奥深いので、また別の機会に詳しく書こうと思います。
②「まずは3週間だけ」と心に決める
勉強には、ある程度の時間が必要になります。でも、終わりが見えないと、うんざりしてしまいますよね。
しかし「ツライのはこの期間だけ!」と先に分かっていたら、ちょっとはやる気がでませんか?
新しく物事を始めようとしたとき、それが生活に馴染むまでの期間は、勉強の場合は『3週間~1ヶ月』です。この期間を乗り切れば、勉強すること自体が、あまり苦しくなくなります。
まずは「3週間だけはやる!」と、自分に約束をしましょう。3週間やってみて、もし違うな、と思ったのなら、そこでやめてもいいのです。
自分で決める、というのはとても大切です。もし、誰かに言われたり、会社に迫られて勉強をするにしても「自分でやると決めた」という意図があるのとないのでは、結果が違ってきます。
ステップ2 時間管理をする
「時間管理をする」は、「時間の可視化」と「時間の確保」になります。
① 自分の時間の使い方を可視化する
新しく勉強を始めようとすること、それは今までの生活スタイルを変化させるということです。
今までやっていなかったことを、同じ24時間に割り込ませようとするのですから、自分がそれまでどのように時間を使っていたのかが分かっていなければ、割り込ませようがありません。
そのためには自分の時間の使い方を俯瞰して、可視化する必要があります。
まず、24時間軸で、朝起きてから夜寝るまでの、すべての行動を細かく書き出します。ここは細かく書けば書くほどいいです。
バーチカルタイプの手帳を使って確認する方法はこちらで紹介しています。
思い出しながら書いてもいいですが、実際に1週間ぐらい行動を記録していくと、平日と休日など日毎の違いや、行動の流れがより明確になります。
② 勉強する時間を確保する
可視化できたら次は、勉強する時間を確保します。
なにをしていたのか不明な時間、テレビやインターネットをダラダラと見ている時間や、したくもない残業などがあれば、そこを勉強の時間に切り替えるのが手っ取り早いです。
とはいえそんな時間があったら、時間管理に悩むこともないはずで「やめられることなんてない!」という場合は「同時進行で勉強できる時間はないか」を考えます。
一番確保しやすいのは移動時間ではないでしょうか。電車に乗るなり車に乗るなりしている時間は、勉強がしやすい時間です。
仕事からの帰りに少し余裕があるのならば、カフェなどに行って勉強するもの良いでしょう。他には、眠る前のベッドの中。特に記憶系の勉強におすすめです。
ここで大切なのは「生活スタイルを大きく変えることなく勉強時間を確保するか」です。
勉強をはじめるというだけでストレスがかかるのですから「朝早く起きよう!」「睡眠時間をけずって」とか「休みの日はがっつり!」とか、ますますストレスをかけるようなことはしないことです。
細かい時間を勉強に当てられるようになってから、そういった時間の使い方を検討すべきでしょう。
ステップ3 目標管理をする
「目標管理をする」は、「ゴールを具体的に決める」「なにを、いつ、どうするのか考える」の2つのことをします。
① ゴールを具体的に決める
時間を確保できたら、次は「ゴール」つまり「ほしい結果」は何なのかを考えます。「ゴール」とは「具体的な目標」のことです。
「目的」が「中・長期間で考えたときにそうなりた状態や状況」だったのに比べて、「目標」は「短期間(1年以内)で達成できる行動」になります。
英語の勉強を例にとって説明します。 「3年後には、ビジネスで日常的に英語が使えている」という目的が同じだとしても「目標」は「半年後のTOEICで800点とる」というゴールもあれば「1年後に語学留学する」というゴールもあります。
「ゴール=目標」は「目的」に近づくものであれば、どんなものでも構いませんが、具体的な行動であることが必要です。
また、目標はひとつ設定したらそれで終わり、というものではありません。目標は、目的までの「目印」ですので、何個あってもいいのです。
「ステップ1 自分の意志で自分をコントロールする」で、まずは3週間頑張ると決めたので、3週間後の目標を、まずは決めてみましょう。
ゴールが決まれば、そこまでにしなければならないことが自然と見えてくるはずです。もし、見えないのであればゴールが間違っているか、やるべきことの情報が足りていないということなので、ゴールの見直しや情報収集をします。
② なにを、いつ、どうするのか考える
ゴールまでのやるべきことが分かったら、次はそれを確保した勉強時間に割り振ります。
残念ながら、捻出した以上の時間を勉強に割り当てるのは不可能なので、その範囲でできることを考えるしかありません。もし、勉強時間が足りないのであれば、そのゴールが、今のあなたにとって高すぎるのです。潔く諦めて、達成可能なゴールに変更しましょう。
よく「昨日は勉強を2時間もやっちゃったよ~」とか言う人がいますが、時間の幅で勉強を考えてはいけません。「質=結果に直結すること」を意識しましょう。
そのためには、勉強を「時間」で区切るのではなく「タスク」で区切るようにしてください。先に割り当てた勉強時間にできる範囲の量の勉強をそこに割り振るのです。
例えば「電車移動の30分に、音声教材の第○回を必ず聞き終える」といった具合です。
ここで大切なのは「できる範囲のことだけを確実にやる」こと。できるだけ時間の余裕を持たせておいてください。
先の例なら、ぎりぎり30分で聞ける量ではなく、20分の量に設定しておくという感じですね。
計画段階ではできるような気になって、あれもこれもと詰め込みがちになりますが、そうすると必ずどこかで無理がでます。
詳しくは次回解説しますが、初めは「こんな簡単でいいのかな」と思うことくらいがおすすめです。
まとめ
【課題】勉強を始めるときに気をつけることは?
【対策】効率的かつ合理的な勉強方法を確立する
【方法】
ステップ1 自分の意志で自分をコントロールする
① なぜ「勉強するのか」をはっきりさせる
②「まずは3週間だけ」と決める
ステップ2 時間管理をする
① 自分の時間の使い方を可視化する
② 勉強する時間を確保する
ステップ3 目標管理をする
① ゴールを具体的に決める
② なにを、いつ、どうするのか考える
ここまでできたら、後は実際に行動するだけです。このステップが上手にできると、やる気も出ますし、行動にも移しやすくなります。
「上手にできない」という場合は、こういうことが得意な第3視点の人や、コーチを頼ってみるのも一つの方法です。
無理のない「時間管理」や「目標管理」ができるようになることは、自分で自分をコントロールできるようになることと同意義です。初めはうまくいかなくて当然なので、何度も繰り返しやってみましょう。
また、「計画倒れ」という言葉があるように、ここまではできても、実際に行動できない、という人も多いでしょう。
次回は「実際に行動する」ことにフォーカスした解説をしていきます。