「勉強が続かない」「資格をとったのに役に立っていない」…社会人の勉強のジレンマを解消するコツ

社会人の「勉強」に必要な3つのことのうち、前回は「効率的かつ合理的な勉強方法を確立する」について解説しました。これができたら次は「実際に行動する」段階です。

前回の記事を読んでいない方はこちら。

今回は、社会人の「勉強」に必要なことの残りの2つ

  • 勉強することを習慣化する
  • 仕事や実生活で結果を出せる基準にする

を具体的に解説してきます。

目次

「勉強することを習慣化する」ための簡単な3つのコツ

勉強だけでなく、なにをするにも「三日坊主」になってしまう、という人がいますが、これはその人の個性や性格の問題ではありません。なぜなら、人間はみんな、基本的に三日坊主だからです。

「新しく始めた物事を続けられない、習慣化できない」というのは、人間の脳の働きがそうなっているから起こることです。指が5本とか、髪が黒いとか、そういうレベルに等しい問題なので、ここを嘆いていてもなんの解決にもなりません。

習慣化が得意な人というのはそれを知った上で、ではどうするか?何をしたらいいか?を知っていてできる人、というだけのことです。

習慣化のコツはいろいろありますが、ここでは誰にでも取り入れやすい方法を3つご紹介します。

① 五感を使った勉強方法を複数用意する

自分のスキルやライフスタイルに合っていない勉強方法を選んでしまうと、続くものも続かない結果になります。「目標管理」で考えた「なにを、いつ、どうするのか」を、「勉強方法の種類」という点で見直してみましょう。

勉強というと「テキストを理解する」とか「問題集を解く」という「視覚」を使った方法が中心になりがちですが、社会人におすすめなのは「聞く」そして「話す」勉強です。

五感をフルに使う勉強方法は効率よく記憶が定着します。また、「読むこと」や「書くこと」は、他のことをしながら集中してやることが難しい方法ですが、「聞くこと」は、他の作業をしながらすることができ、時間も効率的に使えます。

「声に出してその声を聞く」「身振り手振りをつける」なども効果的です。

複数の勉強方法を用意しておくことで、マンネリ化を防ぐこともできます。五感をフルに使って、効率的に勉強しましょう。

② アメとムチをバランス良く取り入れる

勉強を続けていくには、自分を上手にコントロールすることも大切です。やる気の出し方は人それぞれあると思いますが、あなたは学生時代どちらのタイプでしたか?

A、テストでいい点数をとったら、ご褒美をもらう
B、「〇〇大学合格!」という目標を掲げて突き進む

どちらもやる気を出すのには有効ですが、実は真逆のことをしています。

Aは「楽しさ、嬉しさ、ワクワクすること」などの快感を得るために、Bは「焦り、不安、強制力」など危機感を避けるためになにかをやろうという気持ちになるのです。

快感を得るためにやる気を出す方法としては、ご褒美を用意する他にも、誰かに褒めてもらう、遊び心を取り入れる、あこがれの人の真似をするなどがあります。自分がワクワクドキドキするかが目安です。

危機感を避けるためにやる気を出す方法としては、締切を設定する、人に宣言する、お金を先に払ってしまう、罰ゲームを用意するなどです。追い詰められているようで、落ち着かない気分になるかどうかが目安となります。

勉強していくときにはこの「アメとムチ」はどちらも必要になりますが、人はどちらかに偏りがちです。今までのあなたの方法がどちらに寄りがちだったなら、もう一方の方法を積極的に取り入れてみてください。

③ 仲間や応援してくれる人をつくる

勉強は基本的にはひとりでするものです。しかし「やっても意味があるんだろうか」「こんなに頑張っているのに結果がでない」「もう今日はやらなくてもいいかな」などと、どうしても孤独感や誘惑に耐えられなくなるときもあります。

そんなときに勉強仲間や応援してくれる人がいれば、話を聞いてもらえたり相談できたりして、また前向きに勉強に取り組むことができるようになります。

誰にもバレないようにこっそり勉強したいというなら別ですが、家族や友人、会社の同僚などに「勉強始めます!」と宣言してしまうのも良いでしょう。

周りにそういう人がいない、というときは、SNSで同じ目標をもつ人たちを探してもいいと思います。フォロワーになったり、グループに入ったりしてもいいでしょうし、そこまで積極的に関わらずとも、同じように頑張っている人の様子を目にするだけでも、やる気が出てきます。

ぜひ、同じ目標を持つ仲間、応援してくれる人をつくって、サポートしてもらいましょう。

「仕事や実生活で結果を出せる基準にする」3つの方法

「仕事や実生活で結果を出せる基準にする」 というのは、平たく言うと「普段からしている、やっている状態になっている」ということです。

いくら新しい知識をインプットして「知っている状態」であっても、実際の仕事や生活で「使えている状態」でなければ意味がありません。

学習意欲が高い人、新しい情報や知識を取り入れることに楽しさや喜び、充足感を感じる人、「自分がまだ知らないことがあるから問題が解決しないのだ」と考える人は、次から次へと新しい講座や資格に取り組んでしまい、知識だけが広く浅くなりがちです。

確かに、20代までなら、問題が解決しない大きな理由は「知識・情報不足」もしくは「経験不足」であることが多いでしょう。ですから、インプット型の勉強をすることで解決します。

しかし、30代からはそうではありません。まったく社会経験がないというなら別ですが、ある程度の勉強や経験を積んできているなら、問題が解決しない一番の理由は「知識や経験を応用できていない」ことにあります。

では、実際の仕事や生活で「使えている状態」 にするにはどうすればよいのでしょうか?

① 自分の知識やスキルを棚卸しする

まずは、今の自分にどんな知識が、どの程度あるのかを紙に書いて一覧化してみましょう。

学生時代に学んだこと、社会人になってから身につけたこと、得意なこと、資格など、仕事のことから趣味のこと、なんでも並べてみます。自分が「できる」と思っているものなら何でもいいです。 質より量、出せれば出せるほど良いです。

「自分が好きで得意なもの」「世の中にはもっとできる人はいるだろうけど、わりとできると思うもの」 「特に好きではないけど、できてしまうもの」 といった感じで思いつくまま出していきましょう。

資格などは出しやすいかと思いますが、普段当たり前にやっていること、例えば「料理」「掃除」「子育て」などもOKですし、「冗談を言うのが得意」「美味しい飲食店を見つけるのが得意」など、どこで役立つのか、何の役に立つのか分からないものでも構いません。

うまく出てこない、という場合は、友人や家族など自分をよく知る信頼できる人に聞いてみたり、同僚や上司など、客観的に評価してくれそうな人に尋ねてみるのも良いでしょう。

② 知識やスキルを組み合わせて試行錯誤する

知識やスキルの一覧ができたら、次はそれらを仕事や実生活でどう活かせるか?を考えていきます。

この「どう活かせるか?」を考えることが応用力を養います。慣れていないと難しく感じるかもしれませんが、これをしない限り、新しい知識を入れても無駄になります。

英会話を学んでいるのなら、とにかく英語で会話ができることが、実生活で活かしていることになります。ですので、そのための環境や方法を探すことが、課題のひとつになるでしょう。

過去に蓄えた知識やスキルが、現状では必要でなくなっていることも、もちろんあります。自動車の免許は持っていても、都会に住んでいたら自動車を使わずにすむこともありますよね。逆に、眠ったままの資格があるのなら、それを活かして新しい職種につける可能性があるかもしれません。

本やインターネット、テレビなどで仕入れた情報も同じです。少なくとも一度は「自分の手を動かして同じようにやってみる」そしてそれを「自分なりに試行錯誤する」。座学ではなく、実践することが応用力につながっていきます。

「どう活かせるか?」はノートやスマホの前でウンウン唸っているよりも、 仕事や日常生活の中で見つけていったほうが早いです。目の前に起きた物事に対して「これに私の知識やスキルを活かすとしたらどうしたらいいのか?」と常に考え、そしてやってみます。

「応用力」とは「対応力」でもあるので、実践するからこそ発見できるものが多くあります。これを積み重ねることでしか「知っている状態」を脱し「使えている状態」になる方法はありません。

③ 教える・伝える

とはいえ、やっぱり仕事や実生活に活かせることなんてないよ…という場合もあるかもしれません。

そういうときは「教えて」みてください。「そんな自信ないよ」というときには「伝えてみる」でもいいです。

頭にインプットした知識は、そのままだと、どんどん忘れていきます。そのために必要なのが「アウトプット」です。

同じことを勉強している仲間同士なら話をしやすいですし、友人や家族でも「〇〇について勉強してるんだけど、説明聞いて分かるかどうか教えてほしい」など協力を求めることはできるでしょう。

それが無理なら、ノートやブログに「誰かに向かって説明するように」書いてみることもできます。

自分が理解できていないことを、説明するのは至難の業です。誰かに伝えることによって、自分の理解度を測ったり、より理解を深めるきっかけになります。

教えたり伝えることで「すごいね」とでも言ってもらえれば、あなたのやる気にも繋がりますし、その知識や情報を必要としているひとなら、あなたに感謝してくれるでしょう。

まとめ

【課題】
勉強を習慣化して、それを役立てるには?

【対策】
・勉強することを習慣化する
・仕事や実生活で結果を出せる基準にする

【方法】
・勉強することを習慣化する
① 五感を使った勉強方法を複数用意する
② アメとムチをバランス良く取り入れる
③ 仲間や応援してくれる人をつくる

・仕事や実生活で結果を出せる基準にする
① 自分の知識やスキルを棚卸しする
② 知識やスキルを組み合わせて試行錯誤する
③ 教える・伝える

勉強は基本はひとりで頑張るものですが、独りよがりになってしまったり、抱え込み過ぎてしまっても、うまくいきません。タイミングよく誰かに頼ることで、ゴールを目指しやすくなります。

話を聞いたり、応援してくれるのが得意な第2視点の人や、客観的に意見をくれる第3視点の人が周りにいれば、ぜひ頼ってみましょう。きっと手を貸してくれるはずです。

また、人の話を聴き、その人の能力や可能性を最大限に引き出して、ゴールまでの道のりを伴奏するプロであるコーチングのプロコーチも、相性がいいので、周りに適材がいない、と感じる場合は検討するのも一つの手です。

田代 真理
Mari Coaching Room 代表
メンタルコーチ。コーチ歴17年、手帳歴20年。「3つの視点」にフォーカスした自分と周囲を変革するための独自メソッド『3つの視点コーチング™』で、個人セッション、講座、法人社外コーチとして活動。手帳を使ったセルフコーチング・自作テンプレート『大人が整うノート』を提供中。
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